電気工事士試験を受けてみた

電気工事士試験受けてみました。一昨年2013年に、平成25年度の第二種電気工事士の下期の試験を。昨年2014年に、一種電気工事士試験を。

電気系じゃない私の話が役に立つか分かんないけれど*1、これから試験受ける人の参考になるかもしれない話とか、試験の感想とか。

*1:私は電気系の学校に行ってませんし、もちろん電工の経験もないし、電工の知人もいません。全て趣味の独学。

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筆記試験と技能試験の細々としたこと

筆記試験では私物が出せない

試験中は、余計なものは机上に出せません。ペンケースもだめ。シャープペンシルの芯のケースもだめ。ポケットティッシュが入ったビニール袋もだめです。
プラスチック消しゴムも、ケースから出してむき出しのほうが無難かもしんないです。そこまで試験監督さんは言ってたかどうか、覚えてませんけど。

鉛筆? シャープペンシル

シャープペンシルの芯ではマークシートの読み取り機械が読み取れない、鉛筆にしろ」とか噂も聞いたけれど、受験案内にはシャープペンシルと書いてあることだし、電工試験はシャープペンで構わなかったんだと思います。私は普通のHBのシャープペンシルで受験しました。いちおう0.9mmと1.3mmのマークシート用シャープも持って行きましたが、要らんかった。0.5mmのHBだけで十分です。
前述の通り、シャープの芯ケースは出せませんから、芯を持ってくより、芯を入れた0.5mmのシャーペンを2本か3本は持ってったほうがよさげです。
筆記試験の問題用紙は大きくて、B3サイズの二つ折です。狭い机でバサバサやってると、シャーペンの芯は落とします。
昨年の一種の筆記試験のときは、私の後ろの机の人がシャーペンの芯を落っことしてバラ撒いてました。


当然だけど、シャーペンの芯は黒です。色鉛筆は駄目だと思う。

筆記試験の計算問題は捨てる? 捨てない?

計算問題は、(全部は)捨てないほうがいいです。
もし、計算問題を丸ごと捨ててしまうと、たとえば50問中7問とか捨てることになってしまい、残り43分の30だから、70%の正解率が必要になっちゃいます。70%って、暗記問題が多いとキツいです。

私が勧めるのは、直流のオームの法則の入門部分だけは、使えるようにしておくこと。電工試験の申し込みをする前に。
二種電工試験では、直流だけでけっこう解けます。残念ながら電工試験に落ちても、オームの法則は他で使えるはずで、無駄にならない。
どうしても計算問題をあきらめるのなら、三相交流は後回しにする、程度にして、全部は捨てないほうがいいです。

参考書は、電工試験の参考書だと試験対策が最優先になってて、かえって入門には適さない気がする。電子工作の入門書のほうが丁寧かもしれない。電子回路入門書だと力率や三相交流は書いてなかったりしますが、オームの法則は当然、同じなので。

筆記試験は最後まで受ける

みんな途中退場しすぎ。
一種の筆記試験、私が受けてた部屋で最後まで残ってたのは私だけって何だよ。試験監督の人、私ひとりのために終了説明やってたぞ。

時間がある限り、二回でも三回でも見直したほうがいいです。計算問題も正直に筆算と検算したほうがいい。
試験は現場と違って数字が出来すぎてるから、ついつい暗算で済ませがちなんだけど、暗算は間違えます。筆算してれば間違えません。図面も馬鹿正直に書きましょう。私はそれで三相モータの逆回転問題でミスに気付けました。

技能試験の筆記用具

技能試験もマークシート等にHBの鉛筆が必要です。問題は試験中に複線図を書く筆記用具で……。


3DSのタッチペンを作ったときに買ったボールペンを流用してます。ぺんてるjCLUB(ジェイクラブ)AB5-Cに、ゼブラのプレフィールの替え芯を入れてます。色は緑と赤、インクはエマルジョンの0.7mm、EK-0.7です。
ぺんてるのジェイクラブは、通常は油性インクの黒と赤です。これを、3DSのページに書いてあるように、パイロットBSRFの互換芯を使って、インクと色を変更しました。シャープペンシル部分は通常のまま、0.5mmのHB。
こうすると、一本のペンで鉛筆と、赤と緑が使えて、しかも回転式です。回転式はスライドノック式と比べて、手袋をしていても確実にペンの切り替えができる利点があります。

多色ボールペンが一般的かもしれないですが、黒はボールペンよりシャープペンのほうが便利です。シャープペンシルなら筆圧で濃淡つけられます。
色については難しいですが、私は自分ルールで決めました。緑は接地側やそれに類する部分、赤は非接地側、またはプラスと見なせる側。
三相交流になると面倒になりますけれど、接地側の緑だけでも書くと見通しが良いです。回転式のボールペンを諦めれば色ボールペンを三色使えますが、そこまで色分けする必要は感じませんでした。写真は三菱のジェットストリームマルチ3&1(MSXE4-600-07)を、赤緑青に入れ替えたもの。


カスタマイズペンは、シャープと手袋作業を考えると、かなり絞られると思う。
パイロットのハイテックCコレトや三菱のスタイルフィット、ゼブラのプレフィールにぺんてるのスリッチーズにアイプラス…と色々ありますけれど、シャープがペントップのノックで出せなかったり、芯が折れやすいものもあると聞きますし、試験で使うにはちと難しいかも。
ぺんてるジェイクラブなら、回転式の切り替えで、シャープペンシルが作りつけでトラブルなく動作して、ペントップをノックして芯が出せます。替え芯も、BSRF互換芯から選べます。
こういう商品って、あんまり無いです。他に候補にしたのは三菱のビーズクリップターン、ゼブラのSKシャーボ+1あたりです。どれも購入してないんで、互換芯が使えるかどうかは分かりません。
商品カタログ見る限りだと、三菱の2本はS-7Lで、BSRF互換芯が使える可能性ありです。ゼブラのはSK-0.7で、BSRF芯より長さが短い。BSRF芯はそのままでは使えません。




↓平成25年度 二種 4

↓平成25年度 二種 5

平成26年度 一種 2

平成26年度 一種 3


複線図はこんなやり方してます。
電線相互を接続する接続点は普通、黒丸(●)だが、●は意外に手間がかかるし、見落としやすい。私は白丸(○)で囲って、電線数を数字で入れてます。こうすると、特に差込型コネクタの支給数と照らし合わせて配線ミスのチェックができます。リングスリーブ圧着でも便利です。
緑は接地側電線で、辿ると接地線に行き着く線。赤は非接地側、またはプラス。これは例えば、一般の住宅でブレーカーを上げてるとき、常に充電されてるケーブルに色がついている、ということ。電工でいう展開接続図では上下の非接地側・接地側電線の部分になる。
配線上の三角矢印は、スイッチ通って負荷に繋がる線です。スイッチを入れたり切ったりすると、充電されたり切断されたりするライン。展開接続図では、非接地側電線から接地側への縦のライン。

電子回路の回路図にたとえると、緑に塗った接地側電線はGNDライン、赤は電源ラインです。電子回路に馴染みのある人には分かりやすい方法かと思うけど、どうだろう。

技能試験の工具類とか

ペンチ【指定工具】


サイズは175だと失敗しない。150だと手袋したときに小さすぎ、200は通常作業には重くて大きいです。写真はエンジニアのPD-07。手ごろな値段で、欠点もない。
私はスリーピークスの「かるいペンチLP-175」を使いました。
いろいろ工夫がしてあって気に入ってるのだけれど、電工試験には勧められない。というのは、先端の滑り止めが弱くて、ケーブルを剥くときに滑ってしまうから。これ、けっこう致命的です。



試験ではLP-175で済ませましたが、エンジニアPD-07も持っていくしかなかったです。だから他人に勧めるなら、JISのペンチでなるべく良いものを、ということになるわけだけど……つまんないんだよな……。

ペンチは2つ、できれば3つ用意しておくのがお勧めです。試験や練習に使う良いものを1つか2つ。さらに試験用とは別に、安価なものを1つ用意します。ホームセンターで1000円以下のものでいいです。練習材料を準備するときや、練習作品を解体するときは、安価なペンチを使います。解体にまで良いペンチを使ってると、意外と早くペンチの切れ味が悪くなって、使い物にならなくなります。試験日の直前に。

ネジ回しドライバー(+)【指定工具】


ベッセルのセパドラ(No.550)とメガドラ普通(No.900)。プラスの2番、軸の長さは100mm。「電工ドライバー」と名前がついてなくても問題ないです。
軸を持って早回しできると、端子台のネジを早く外せます。軸の長さは、150mmでは机上作業に長すぎる。軸の太さは6mm前後の普通のもの。

磁化するかしないかは、どっちが良いかよくわからない。ランプレセプタクルのネジは磁石にくっつきませんし、端子台はネジを外さないのが普通だし。

高級品は必要ありませんが、100円の安物はやめといたほうが絶対にいい。特に一種では重要で、端子台のネジのネジ山をつぶさない注意が必要ですし、締め付けトルクの加減も無視できなくなってきます。

ネジ回しドライバー(-)【指定工具】


サンフラッグのハイソフトドライバー強力貫通タイプ5.5mm×75mm(888)。貫通にした意味はありません。手持ち工具の関係。
幅6mmだとちょっと大きすぎ。5.5mmがちょうどいいです。

電工ナイフ【指定工具】


スリーピークスの絶縁電工ナイフSK-1。特に一種のときは、こちらがメインのナイフになりました。VVFを剥くのに良い角度の刃になっている。刃渡りが短めで、刃先が使いやすい。
クニペックスの電工ナイフ9854。えーと…二種の試験のときに、一箇所は必ずナイフ作業をすると決めていたもんで、ランプレセプタクルのところはこれでやりました。モノはすごく良いのだけれど、電工試験には向かない。刃付けの角度が鋭くて、刃を寝かせるにも絶縁カバーが邪魔で、VVFの作業がやりづらい。銅線を薄く削ってしまったりします。どっちかというと、電工ナイフというよりカッターナイフっぽい切れ味です。
ホーザンの定番電工ナイフも買ってみましたが、試験には使いませんでした。切れ味は文句ないけれど、折りたたみに力が必要でちょっと危ないのと、刃渡りが長すぎる。
カッターナイフは持ち込みを自粛するように、と試験案内に書かれてますが、2014年の一種の試験会場ではカッターナイフをちらほら見かけました。仕事道具なのかな。

スケール【指定工具】


いわゆるメジャーも持っていきましたが、実際に使ったのはシンワ測定の折尺と、100円ショップダイソーの巻尺を切ったものです。

ダイソーの巻尺は、40cm〜50cmの長さに切って、試験開始前に机に粘着テープで貼り付けておきました。ケーブルの長さを測るときにはこっちを使います。

シンワ測定の折尺はおもに、銅線の剥き長さを測る用途。服の胸ポケットに一段伸ばした状態でペンのように刺しておいて、mm単位で測りたいときにパッと取り出して測る。


ウォータポンププライヤ【指定工具】


IPSのバネ内蔵カチオンウォーターポンプHWP-190S。あんまり使わないけど、持っていかないわけにもいかない。
サイズは小さめの190で。190サイズの商品は少ないんだけど。

リングスリーブ圧着工具【指定工具】



ロブテックスAK17A
ビニールテープを貼って、油性ペンで印をつけてます。工具のカチカチいう音が聞こえにくい試験会場でも、圧着完了が目で見て分かって便利です。
ちなみに、この部分をペンチで回すとロック解除できます。あんまりゴリゴリ弄っちゃだめな部分ですが、知っておくと圧着トラブル時に役立つ。


VVFストリッパ


MCCのVS-4Aです。ホーザンのと並んで、最近はこれが定番商品の一つになってるのかな。手ごろな価格で3芯が剥けるのが良いだろうか。
私がこれ気に入ってるのは、作業によってはナイフよりも綺麗にできるところです。


1mm幅で剥く、なんて面倒な作業が、手早く簡単にできる。ナイフだと大変です*1

ガチャンと握って使うタイプのやつと、どっちにするか迷うところですが、予算が許すのなら両方買って、試験にも両方持ってくのが一番だと思います。さらに予算が許すなら、一種のより線を剥けるワイヤストリッパもあるといい。
私は握ってガチャンのタイプは買いませんでしたが、困りませんでした。家を建てるのではないのだし、机上の試験に合ったものを選ぶのがいいと思います。

私の場合、二種の試験練習のときは、ナイフ作業では時間に余裕が無かったです。大きなミスをすると直す時間が足りない。一種のときは、練習はほぼ全てナイフ作業でやってましたが、慣れたのか、それほど無理はなかった。どちらも試験ではストリッパを使いました。

ニッパー


スリーピークスのパワーニッパPN185
一種の太い電線がペンチではどうしても切れないときや、リングスリーブ圧着を失敗してリングスリーブごと切断したいとき、圧着の根元で銅線を一本ずつ切りたいときなど、ペンチでは難しい切断のための保険です。
VVRの詰め物を切るのにも使えます。

ラジオペンチ


ツノダのRP-150DG。ランプレセプタクルの輪作りを整えたいときに使う、のだけれど、無くてもいい。
私は150のラジオペンチを持ってないと不安、というだけ。
写真下のラジオペンチは、試験と無関係。ちょっと写真撮りたかった。

道具入れの腰袋


道具をたくさん使えると単純に有利だし、試験会場の机の形を気にしなくてもよくなる。
リングスターのMH85。リングスターが個人的に好きなのと、値段でこれに。
スタンダードな四角い電工腰袋を、腹のほうに回してつけてる人もいました。

手袋


布地が薄めの作業用手袋です。背抜きで手のひらゴム。
試験会場では素手の人も多かったですが、私は手袋作業に慣れると素手ではできなくなりました。手袋をすると冬場の乾燥で指が滑ることもないし、怪我も減ります。
手袋は邪魔という人でも、練習と試験以外の、材料の準備と片付けくらいは、手袋をしたほうがいいと思う。意外と準備中に怪我します。

私は、ケーブルを束ねていた針金の切れ目で、指先を切りました。スパッと数ミリ。怪我としては大したことはなかったけれど、けっこう練習の支障になった。

プレート外しキー

東芝ライテックNDG4990。電線外しに便利です。マイナスドライバーより差し込みやすい。

髪留め


二種の試験のときに持ってった。一回だけ使った。ちょっとだけ役に立った気がしないでもなかった。
なんか、試験の雰囲気が気に入らんというか、「ゴーカク! ゴーカク!」が気持ち悪いというか……それでなんとなく、「試験対策業者の人たちが推奨しないだろう道具を使ってやりたい」って気分で、なんとなくダイソーで見つけたもの。
指で押さえたときだけ電線をまとめることができる、ことはできるんだけど、要らんですな。

一回分の材料で三回つくる




最初は参考書どおりの寸法、たとえば15cmで作ります。次に同じ線材を再利用して、10cmで作る。さらに再利用して5cmで作る。こうすると、一回分の材料で三回練習できます。
一回目と違って、二回目三回目は材料の寸法取りが練習できないですが、回路的には同じものを作れます。
私は一種の試験の練習で、一回分の練習材料で、候補問題10種類をすべて3回ずつ作り、さらに二種の試験の余りの電線も使って、合計46回練習しました。

ランプレセプタクルのネジ太さ



私が受けた試験では、二種も一種も、太めのネジでした。

左がパナソニックWW3402、右が明工社MR2301。パナソニックが細め、明工社が太めです。

押しボタンスイッチのネジは壊れやすい



一種の端子台と同じ調子で強く締めると、壊します。

テスターをつくる




HOZANの合格配線チェッカー Z-222と似たようなものを自作しました。やっぱり一度は回路を動かすと分かりやすかったです。
電源は(見せるの恥ずかしいんだけど)手作りの安定化電源を使ってました。やっぱいろいろ酷いなこれ……。

*1:「ちょうどの長さか、1mm長く」がコツです。短めの誤差よりも長めの誤差のほうが無難。

その外細かいこと

ハンガーはありません

冬場の試験、コートが邪魔。私はカバンに突っ込みましたが、椅子の背もたれに引掛けてる人が多かったです。
試験中や、退出に、コートが邪魔にならない程度には考えておいたほうがいいかも。
試験終了の退出はバタバタしてます。道も狭いです。あんまり嵩張るコートを着ていくと、他人の作品に引掛けてしまうかもしれない。

メールアドレスの登録変更はめんどくさいかも

私はたまたまメールアドレスの変更と時期が重なってしまいました。たぶん連絡もなかったので、困んなかったですけれど。
変更の可能性のあるメールアドレスは、登録を避けたほうが無難かもです。

試験受けた感想

資格試験ということで、群がってくる業者は気持ち悪かった。試験会場前に陣取って、関係者っぽくチラシ配りしてたり。
参考書買うために本屋に行ってみれば、本のデザインセンスからして派手というか、あの合格アピールが……「免状もらうためには効率のよい勉強をするべきだ、それが正常な人間の判断だ」……みたいな空気はやっぱり……技術の証である免状をもらうための試験で、そのための試験対策テキストなのに、試験に出にくい範囲を削っていって、勉強量を減らそうとする人たちと近づくのは、嫌だった。

私の場合は、電工の免状は不要で、ほぼ趣味で受けた試験だった。しかし、多くの人はいろいろと理由があって受けるのだろうし、「必死になることはないでしょ?」なんてことは言えない、んだけれど。試験対策テキストは勉強の優先順位をつけたり、最初のさわりを理解するくらいに「ほどほど」にとどめて、勉強の半分以上は普通にコツコツ勉強したほうが、結局は安定して点数が取れる試験だ、とは感じた。
計算問題をまるごと捨てて、ヤマを張って暗記問題に賭けるよりは、計算問題を確実に解くほうが、確実に合格に近づける。
私も試験対策テキストにだいぶ頼ったし、技能試験対策に時短テクニックを収集するのも悪いとは思わないけれど、それよりはまず回路を理解する。次に、個々の基本作業を理解する。でないとやっぱり、自分の作業に不安になったとき、本当に正しい作業をしているのか自信が持てなくなる。


技能試験は時間との戦いにはなる。机上作業に合わせた道具と練習が必要でもある。しかし、裏技的なテクニック*1は必要ありませんでした。


*1:VVFの長さが何割か短くても減点されないから、雑に手定規で測って時間短縮、のような。