再配布・改変再配布と同等の扱いでウェブフォントにする方法

(2010年12月11日追記):以下はWEBフォントをフォント再配布と改変再配布と同時に行う方法について書いた、2010年05月21日付けの、古い解説です。再配布条件を満たしつつwebフォントに使っても勿論構いませんが、使用許諾条件書の添付が必要になるので、お勧めはしません。

Webフォントは再配布・改変再配布と同等です

  • インターネット上にフォントファイルをアップロード
  • 不特定多数が自由にダウンロードできる

Webフォントを、PDFファイルにフォントを埋め込む感覚で使っている人もいるかもしれませんが、あくまで「客観的に見て、実際に何をしているのか」で判断します。Narrは、Webフォントを再配布そのものと見なしてます。ライセンス文書の再配布・改変再配布を参照してください。

無改変でWebフォントに使う場合

Narrが配布したフォントを改変せずにWebフォントに利用する場合は、フォントファイルと一緒に、ライセンス文書のコピーをサーバにアップロードし、サーバ利用者(Webフォントを実際に利用してWebページを表示する人)がライセンス文書を閲覧、またはダウンロード可能な状態にしてください。

<ol>
<li><a href="./nukamiso.ttf">フォントファイルのダウンロード</a></li>
<li><a href="./licence.txt">フォントのライセンス</a></li>
</ol>

たとえば、フォントファイルをTrueType形式のまま、HTMLからサーバ利用者にダウンロードさせる場合は、このようなHTMLにする。フォントファイルをダウンロードする人が見て、すぐわかる場所にライセンスもあればいいわけです。

CSSの@font-faceの場合も同様です。@font-faceの場合は、フォントファイルを指定したCSSファイルに、以下のように記述する方法でもOKです。

@font-face{
font-family:"web_nukamiso";
src:url(./webfont/nukamiso.ttf) format("truetype");
/*
nukamiso.ttfのライセンス
http://example.com/css/webfont/nukamiso_license.txt
*/
}

Webフォントをアップロードしたサーバに、共にライセンス文書もアップロードし、CSSのコメントにライセンス文書のURLを明記します。通常のWebフォントでの利用であれば、最低限、上記のようにCSSのコメントに記述するのみでも十分です。HTMLからライセンス文書にリンクし、ウェブブラウザで簡単に閲覧可能になっていればなお望ましいですが、必須ではありません。

通常、ウェブログやウェブサイトの管理者が、日記や論文といった、管理者自身の文書をHTMLに記述している、と考えられます。Webフォントを使用する場合、文書のディスプレイ上での表示をWebフォントで装飾し、ウェブサイト・ウェブログ利用者が閲覧する、といった使用法になるだろうと思われます。
この場合は、HTMLの文書が主であり、Webフォントの装飾は従、という主従関係があります。「フォントの再配布」が主目的では無い場合にまで、過剰にライセンス文書を目立たせるのは現実的でない、と考えています。

HTMLにフォントの著作権表示を明記したり、Narrのサイトへリンクをする必要は、全くありません*1

フォントのファイルネーム

『ぬかみそフォント』のファイルネームは「nukamiso_beta05.ttf」など、ライセンス文書に記載している名称になっています。が、これを変更することのみであれば、「フォントの改変」とは見なしません。CSSで管理しやすい名前に変更しても構いません。ただし、フォントファイルのライセンス文書がどれなのか、はっきりと分かるようにしてください。

改変してWebフォントに使う場合

改変フォントをWebフォントに使う場合は、ライセンス文書の[改変再配布条件]に従います。
まず、改変しない場合と同様に、ライセンス文書をサーバにアップロードして、CSSのコメントにURLを示してください。さらに、一緒に改変フォントの概要を記述した文書も同梱してください。

@font-face{
font-family:"web_nukamiso";
src:url(./webfont/nukamiso_mod.woff) format("woff");
/*
nukamiso_mod.woffのライセンス
http://example.com/css/webfont/nukamiso_license.txt
http://example.com/css/webfont/nukamiso_mod_license.txt
*/
}

ライセンス文書は、一つの書庫にまとめてもOKです。

改変フォントを再配布する際は、Webフォントに使うだけであっても、改変再配布条件に従ってください。フォント形式をWOFFに変換するのみであろうと、新規文字を追加するのみであっても、改変は改変です。
簡単に、要点を説明します。

  • フォントの名前を変更すること
  • フォントファイルに、改変者の名前を入れること
  • 改変元となったフォントのライセンス文書を同梱すること
  • 改変フォントの概要を記述した文書を同梱すること
    • 改変フォントの改変作業を行った者(制作者)の氏名(本名でなくとも可)
    • 改変フォントの配布責任者名(本名でなくとも可)
    • 改変に利用した当該フォントの名称及びバージョン
    • 改変内容の簡単な説明
  • OpenTypeの場合は、組織IDを[1194]以外の、公開に問題が無いIDに変更すること

さらなる再配布を禁じることもできる

改変フォントの概要を記述した文書に、「再配布を禁止する」と明記しておけば、第三者によるさらなる再配布を禁止することができます。フォントの改変作業を行った者と改変フォント再配布責任者の自由意志で禁止が可能であり、Narrの許諾は必要ありません。
たとえば、「ぬかみそフォント」の平仮名を削除し、替わりに好みの自作平仮名フォントを組み込めば、漢字や数字は「ぬかみそフォント」で表示し、平仮名のみ自作フォントで表示できます。
もし、改変フォントのさらなる再配布が許可されるならば、この自作平仮名フォントが入った改変フォントが、不特定多数の第三者にWebフォントとして利用される可能性もあります。こういった事態を望まないのならば、改変フォントのさらなる再配布は禁止すべきです。

ライセンス文書の同梱は、他人任せでは駄目です

ライセンス文書は、フォントをサーバにアップロードした人が、自ら管理するサーバにアップロードして、自分で管理してください。ライセンス文書をアップロードせずに、Narrがインターネットに公開したライセンス文書のURLを示すのみでは、ライセンスの同梱とは認めません。フォントを再配布した人が、自分でライセンス文書も一緒に管理する必要があります。
Webフォントに使いたいだけで、フォントを再配布することが目的でもないのに、ライセンス文書までアップロードするのは面倒かもしれません。が、実際にやっていることは再配布そのものであるということと、そして、ライセンスを同梱することがフォント利用者の利益にもなる、ということもご理解ください。

問題点

トラブルが起こったとき、誰の責任なのか

Webフォントに使用した「ぬかみそフォント」が何かしらのトラブルを起こして、たとえばブラウザが強制終了を起こし、損害を生じさせた場合、いったい誰の責任なのか、という問題。
慎重なウェブサイトなら、閲覧者へ免責事項を書いているだろうとは思うのだけれど。

サーバ利用者が自由にWebフォントを利用する場合はどうするか

フォントファイルそのものをサーバ利用者にはダウンロードできない状態にして、たとえばサーバ利用者が自由に文字を入力し、「ぬかみそフォント」を画像化して表示するサービスでは、どうするか。
PNG画像でフォントのサンプル画像を見せるのなら、通常使用の範囲内です。しかし、それがサーバ利用者の任意の文字列で可能になると、それはサーバ利用者が自由にフォントを使えるのと同じになってしまう。色やサイズを少し装飾すれば、「アイコン画像作成サービス」になる。その場合はどうしたらいいか。

今のところ、Web上のサービスで使いたいといった需要が無いので、特にライセンスには書いてません。がしかし、奇妙なライセンスを作って利用者が困るような事態は避けよう、とは考えています*2

*1:そもそもNarrのサイトが永遠に存在するわけでもないのだ。

*2:当初は、フォントを再配布する際は、「『王様の耳はロバの耳ー!』と叫ぶこと。心の中で叫ぶだけでも可」という条件をつけようか、と本気で考えた。